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立花隆+東大立花ゼミ シンポジウム事前取材

9月5日 国立天文台 児玉忠恭先生

 今回の取材は、東京都三鷹市の国立天文台三鷹キャンパスへ行ってきました。三鷹キャンパスの中は、非常に緑が多く、周囲の住宅街と道路を一本隔てただけとは思えない雰囲気でした。そして、セミが元気よく鳴いていました。

 児玉先生との約束は、午前十時から。研究室のある棟の一階にあった、「すばる」の1/100模型に眼を惹かれました。残念ながら電源は入っていませんでしたので、架台を動かすことは出来ませんでしたが…。(編者注:コンセントを差すと動かせました。)

 児玉先生は、シンポジウムの昼休み後に、宇宙大規模構造と銀河形成に関するシュミレーション映像をもとにお話をされる予定です。(シュミレーションした宇宙の時代が異なるので、吉田先生とはまた味の違う映像を楽しめることと思います。)
 4D2Uは「(国立天文台)4次元デジタル宇宙プロジェクト」の略で、国立天文台による、宇宙の空間3次元+時間1次元を可視化するプロジェクトです。公式サイトはコチラ。http://4d2u.nao.ac.jp/
 因みにシンポジウム当日、会場では児玉先生の公演とは別に、別室での4D2U上映もあるとのこと。

 ガス、星、銀河、銀河群、銀河団、超銀河団などなどの構造形成、つまり宇宙の進化について。そしてその背後にあるダークマターについて。現実の観測結果からくるダークマターの性質に関する制約について。もちろん4D2Uプロジェクトチームが作ったムービーも見ました。

 途中、ハッブルと比較してのすばるの強み(広い視野)と弱み(分解能)や、児玉先生の専門分野についての話の中で出てきた、「(40〜50億光年先の銀河団・超銀河団の写ったスライドを指して)これは遠いんですか?」という質問に対しての児玉先生の、「それは人によって色々ですね。私の専門は宇宙の進化でも後半なので、私にとっては遠いですが、家先生(最遠天体の研究をされている)にとっては"近傍"ですね。」というお答えが非常に印象的でした。

 一通りお話を伺った後、打ち合わせと調整。また、すばる望遠鏡を利用した研究の申請・審査や、すばる望遠鏡が吐き出す、一晩につき数十GBというデータの膨大さについて、サーバーの負荷について、今後のすばるを利用した戦略枠研究について、など話題はさまざま。
 そして先生ご自身の専門分野である、銀河の分布や分布の変化、銀河の分布の種類による偏りについて。特に最後の話題では、「全部分かったように話してますけど、実は全然分かってないんですよね」と仰いました。

 謎は尽きない。だからこそ面白い!


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