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イントロダクション なぜ核融合は必要なのか

 昨今、エネルギー資源の枯渇問題がよく騒がれている。具体的な数字を持ち出して、この問題を見てみよう。以下に示す図を見て欲しい。


 これを見て分かるように枯渇エネルギーを利用する火力発電や原子力発電はあと200年もすれば稼働不能になってしまう。そうなると、あとは風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーに頼るしかなくなってしまうが、これらから得られるエネルギーはごくわずかでしかない。つまり、このまま行くと人類はエネルギーの枯渇によって滅びてしまうかもしれないのだ。一般には認知されていないが、これは事実だ。人類はあと数百年で滅びてしまうかもしれない。

「資源が底をつく前に何か新しいエネルギー源を生み出さねば……」
科学者たちは早くからこの問題に取り組み、新しいエネルギー源をずっと模索してきた。
 そしてそのような流れの中で「核融合」による発電が考案された。当初、核融合は科学者たちの間で「夢のエネルギー」だと大変な盛り上がりをみせた。それは、核融合には人類の救世主たるだけの素質が存分にあったからだ。以下に示すと、
核融合は海水中の物質を材料として使うため資源の枯渇という心配がない。
発電によって二酸化炭素などの有害危険性のある物質がでない。

 
核融合反応の起こりにくさという点から原子力発電のように核爆発の危険性がない。
 まさに核融合は夢のエネルギーだったのだ。

 また、現在エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っており2001年度のデータを見る限りでは、日本のエネルギー自給率はわずか4%。すなわち残りの96%を海外からの輸入に頼っているという状態なのである。この状態では海外の情勢が変われば日本のエネルギー事情は大きく影響を受けてしまう。ガソリンの料金が高騰したのも記憶に新しいところである。
 核融合で材料として使うものはすべて海水中にある。日本は四方を海に囲まれた島国であるから、材料はすべて自前で調達できる。このことは非常に大きい。
 現在核融合は急速に発展を続けている研究の一つだ。今後核融合の研究が進めば、人類はエネルギーの心配をする必要がなくなり、人類の繁栄は100年どころか1万年すら見えてくる。
 このように、核融合の研究は人類の存続をかけた、われわれにとって現在最も重要な研究なのだ。


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